デジタル・ディレイの名機、TC2290の精神を受け継ぐTC Electronicのディレイ・ペダル、Flashback Delay & Looper レビューです。
ディレイはアナログ派なんですが、何年か前に「デジタル・ディレイ一台持っときたいなー」と思い立ち、空間系は毎回BOSSじゃ面白くもないので、TC Electronicに白羽の矢を立て購入。(TC2290はSUGIZOも使ってるしね!)
TC2290譲りのデジタル・ディレイだけでなく、総数11種類のディレイサウンドを搭載しているのが特徴。さらにTonePrintRを一つ設定できるので、有名ミュージシャンの作ったセッティングや自分だけのオリジナルセッティングを導入可能。こいつはマジで遊べます。
外観
ブルーのカラーリングといかにも頑丈そうなずっしりとしたメタル筐体が印象的。結構ゴツイです。
スイッチはオリジナルっぽいガチッとした信頼性のある踏み心地。
InとOutがそれぞれステレオ出入力なのも、価格帯を考えると凄い。だいたいこのくらいだと出力だけステレオって感じなのだが。
Control
各種コントロールは左上からこんな感じ。
- DELAY
ディレイタイムを設定するツマミ。可変幅は20msから7,000ms(7秒!)まで。幅広過ぎて細かいディレイタイムは設定しづらい。本物じゃありえない「超長いタイムのアナログ・ディレイ」なんかもできる。 - FX LEVEL
エフェクトレベルの設定ツマミ。全開にしても破綻しないレベルで使えるのはさすがのバランス感覚と言うべきか、面白みが無いと言うべきか。 - FEEDBACK
エフェクト音のフィードバックを設定するツマミ。無限ループも可能。 - ディレイタイプセレクター
11種類のディレイタイプを選択。 - 真ん中の符割りセレクタースイッチ
タップテンポ機能を使って四分音符、付点八分音符、四分音符+付点八分音符の3種類から曲のテンポに合わせて選択できる。INORANやL’Arc-en-CielのKenも頻繁に「符8のディレイ」を使ってるし、アルペジオ・マニアには堪らない。 - バイパス
裏ぶたを開けてディップスイッチによりトゥルー・バイパス/バッファード・バイパス、キルドライ・オン/オフを選択できる。これまた面白い。自分の使用環境により最適な信号をアウトプットできる。
トゥルー・バイパスだとペダルOFF時にディレイ成分を残すスピルオーバーON/OFF切替機能がオフになるので、自分はバッファード・バイパスにしている。バッファー噛ますといっても音に変化は無いクォリティのバッファード・バイパス。
さらに「アナログ・ドライスルー機能」といって、ドライ音をAD/DA変換させずに完全スルーさせているので、すごくクリアな音がアウトプットされる。
Delay Sound
各ディレイサウンドは以下のような感じ。
- 2290
とても綺麗な曇りの無いデジタル・ディレイ。デジタル・ディレイの基本はこれだろっていうリファレンス・サウンドになるディレイ。 - ANA
アナログ・ディレイ。といっても本物のアナログ・ディレイではないけど。良くできたアナログ・ディレイシミュレートって感じ。残念ながら発振はしません。 - TAPE
テープ・エコー。これも良くできたテープ・エコーシミュレート。発振はしません。 - LOFI
グシャっとつぶしたようなざらついたデジタル・ディレイ。存在感のあるディレイ音になる。 - DYN
ダイナミック・ディレイ。ドライ音がある一定のレベルに減退し始めたところでエフェクト音を出力させるディレイ。
ドライ音にエフェクト音が被ってしまうのが嫌な時はこのディレイ。SUGIZO十八番のロングトーンサウンドには欠かせないディレイ。 - MOD
モジュレーション・ディレイ。エフェクト音にモジュレーションがかかる。アルペジオにコーラスかけるのが好きだけどドライ音までかけたくない人には最適なディレイ。 - P.PONG
ピンポン・ディレイ。ステレオで使うと効果的。モノラルでは意味無し。 - SLAP
スラップ・ディレイ。ダブリング効果やリバーブみたいなディレイにできる。 - RVS
リバース・ディレイ。摩訶不思議なディレイ音。
LUNA SEA「Twice」でAメロのINORANアルペジオにかかってるのがこれ。 - LOOP
ルーパー。モノラルで40秒、ステレオで20秒ものループを重ねられる。音質もクリアで、弾いた音がそのまま再生される。
TonePrint
最近のTC Electronicのペダルの売りであるTonePrint機能も面白い。USBケーブルとペダルを繋いで専用ソフトからインストールする。
このエディターではタイムやフィードバックだけでなく、ハイカット、ローカット、サチュレーション(テープ・エコーの質感を調整)、ダイナミック・ディレイの出力ポイント、ダンピング、リバース・ディレイのタイムなど、およそディレイサウンドを司るパラメータのほとんどを設定できる。モジュレーションも然り。好きなパラメータを好きなだけ詰められる。
これにハマり出すと絶対に上位機種のFlashback X4 Delay やFlashback Triple Delay が欲しくなると思う。TonePrintのエリア1つじゃ足りなくなることうけあい(笑)。
TonePrintにはいろんなギタリストがいるけど、INORANのプリセットもある。(SUGIZOではなく)
Flashback Delayについては「Freaky Delay(ビブラートがかかったディレイ)」と「Modulation Delay」の2種類。アルペジオ御用達みたいなINORANらしいセッティング。
プリセットを選択してSendボタンをポチッとすればペダル側にインストールされる。超簡単。
INORANのTonePrintデモサウンドはこちら。なお本人が弾いているわけでは無い模様。
https://www.tcelectronic.com/flashback-delay-toneprints/inoran-freaky-delay/
まとめ
セッティングにハマり出したら絶対に止まらない多機能ディレイペダル。ディレイ初心者がディレイとはなんぞやと使い始めるのにぴったり。さらにその先に踏み込んでいけばディレイマニアの道まっしぐらな、ディレイの教科書みたいなペダル。一家に一台どうぞ的なコンパクト・デジタル・ディレイ。
コメントを残す