Red Pandaのデジタル・ディレイ/ピッチシフター、Rasterを購入しました。
何か面白いディレイは無いかと探していて、アナログちっくなルックスと謳い文句にピンと来た。これはとても面白いディレイ。めちゃくちゃ奥が深いです。
以下、レビューします。
Red Pandaの制作するエフェクターは、モジュラーソフトウェアシンセサイザーを制作した経験からアプローチを行っています。どのモデルも独自性のあるサウンドであると同時に、他のエフェクターやアンプと組み合わせても使用でき、柔軟なシステムに対応できるものばかりです。
とのこと。これはそそられます。
スペック
- このペダルのスペックは以下のような感じ。
- 20~750msのディレイタイム
- ±1オクターブのピッチシフトを半音単位で設定可能
- マイクロピッチシフト(デチューン)
- フェイズシフト
- リバースディレイ
- アナログドライスルー
- Burr-Brown Opamp搭載
- ピッチシフトを無効にすることも可能
- エクスプレッション/CVペダル端子
消費電力は100mA。一般的なデジタル・ディレイと同じくらい。アダプターのみで、電池は使えない仕様です。
外観
一般的には無いツマミが幾つか付いています。
左上から、
SHIFT:ピッチシフターのピッチを調整。真ん中でピッチ変動無し、左に回すとダウナー系、右に回すとアッパー系にピッチが変わります。
エクスプレッション・ペダルでも調整可能。個別にオン・オフも可能。
FDBK:ディレイ音のフィードバックを調整。全開にしてSHIFTツマミをウィンウィン回すと発振します(笑)。
DELAY:ディレイタイムの調整。
左下から、
BLEND:原音とエフェクト音のバランスを調整。100%エフェクト音と言う設定も可能。
フィードバックスイッチ(左側ミニスイッチ):上から順にリバースディレイ、シフテッドリピート(リピートの度にピッチシフトが重なるディレイ)、アンシフテッドリピート(最初のリピートにだけピッチシフトをかけ、あとはそのピッチを維持するディレイ)を選択。
シフトモードスイッチ(右側ミニスイッチ):上から順に、半音単位で設定するトランスポーズ(±1オクターブのピッチシフト)、デチューン、フェイズシフトを選択。
背中側に左からインプット、エクスプレッション・アウト、アウトプット、電源がある。
左下の「SHIFT」スイッチでSHIFTツマミのオン・オフができる。
右下のエフェクトオン・オフスイッチは、バイパス形式は特に書いてないけど、音痩せも感じさせないスイッチ。たぶんトゥルーバイパスだと思う。
サウンド・レビュー
普通のディレイ音
機能だけ見るとめちゃくちゃ宇宙的で変態なことができるディレイなんだけど、まず普通のディレイ音がしっかりとしています。
音はハイファイさは感じず、どこかアナログな質感のある、太く存在感のある、艶のあるディレイ音。まずこれがあるから、いくら変な音にしてもグシャグシャにならず芯のある音として存在できるってことなんですかね。
ツマミ的には、SHIFTはオフ、FDBKとDELAYは12時、BLENDは10時〜11時、フィードバックスイッチとシフトモードスイッチは真ん中で普通のディレイになります。わかりやすい。
無限大に広がる音の数々
左上のSHIFTツマミとフィードバックスイッチ(以下FBスイッチ)、シフトモードスイッチ(以下SMスイッチ)の組み合わせでそれはもういろんな音が作れます。
代理店サイトにある代表的なセッティング例を元にすると、以下のような感じ。
- コーラスディレイ
「デチューンかフェイズシフトモードを使用し、SHIFTをほとんど動かない設定に」
上記普通のディレイに、SHIFTオンで12時の位置にツマミをセットすると、揺れないモジュレーション・ディレイみたいな厚みのあるディレイ音になります。クリーントーンにディレイだけかける時とか良いかも。 - オクターブ/ハーモニーディレイ
「ピッチシフトモードを使用し、フィードバックをアンシフテッドリピートに設定」
FBスイッチを下(アンシフテッドリピート)、SMスイッチを上(トランスポーズ)にして、SHIFTツマミでどのくらいピッチをずらすかを設定してあげると、地を這うようなディレイ音や鈴なりのようなディレイ音が出せます。
SHIFTを上げてオリエンタルな感じのアルペジオとか弾くと気持良い。 - セルフオシレーション
「SHIFTノブは12時あたりに、FDBKを3時より高く設定し、DELAYは10時30分あたりの位置より低く設定」
要するに何もしなくても発振するモードにして、「フェイズシフトモードとシフテッドリピートを組み合わせ」ると、なんとも言えずレトロというか、昔のSF映画に出てきそうな宇宙からの電波みたいな少しずつ高周波になる発振音が延々と鳴り響きます。脳汁出ます。これ好き。 - オーバードライブフィードバック
「FDBKを3時以上に設定し、フェイズシフトモード、アンシフテッドリピートを組み合わせ」
同じ周波数で延々と発振し続けます。頭おかしくなりそう(笑)。 - オールドスクールピッチシフト
「トランスポーズモードに設定し、ディレイとフィードバックを最小に設定」
クリーントーンでSHIFTが12時の位置、FBスイッチがシフテッド、またはアンシフテッドだと12弦ギターみたいな雰囲気に。上げたり下げたりすると民族音楽の楽器っぽい雰囲気の音になる。
歪ませてリバースディレイモードにすると、普通の音の裏にリバースしたディレイ音がまとわりついてきてカオスに。フェイザーとか噛ませるとシューゲイザーっぽくなりそう。 - プラスチックベース
「デチューンモード、リバースディレイを句合、SHIFTを1時半あたり、FDBKを2時、DELAYを8時、BLENDを9時半に設定し、そこから好みに合わせ、ノブを調整」
なんとも言えない、やる気の無い動物の鳴き声みたいな音(笑)。FDBKはもう少し上げて、少し発振するくらいが面白くなる。 - リバースディレイ
「Shiftを無効に設定し、フィードバックをリバースディレイに設定」
音がひっくり返ったディレイ、所謂リバースディレイです。
原音をゼロにしてエフェクト音のみにするとわかりやすい。いろいろモジュレーション重ねまくってグシャグシャにしてやりたくなる音です。 - バーバーポールフランジング
「フェイズシフトモードとシフテッドリピートを組み合わせ、FDBKを2時半あたりに設定し、ショートディレイセッティングに」
SHIFTはオフで、音が延々と上がって下がってを繰り返す、フランジャーをかけたようなうねりになります。SF映画で未知の世界に足を踏み込んだような、ちょっとドキドキするようなダークな雰囲気に。 - オルガン
「トランスポーズモードにシフテッドリピートを組み合わせ、SHIFTを5時、FDBKを2時辺り、DELAYを7時、BLENDを3時辺りに設定」
重厚なオルガンっぽい音に。オクターヴ奏法とか合います。 - アルペジオ
「トランスポーズ、シフテッドリピートでロングディレイに」
所謂アルペジエイターってやつですね。SHIFTツマミの位置で音の組み合わせが変わります。
公式では「マイナー3度:ディミニッシュ7thコードに。メジャー3度:オーギュメントコードにハーモニックなキャラクターが付加。4度、5度:ハーモニーが加わり。7度:音が重なるにつれ、スペーシーな音色が得られます。」とあるけど、おそらく左から右にSHIFTツマミを回していった時の音の変化だと思われます。
といった感じだけど、これも一例で、ツマミの組み合わせと発想次第ではまだまだ出せる音はあると思う。スルメのような噛めば噛むほど味が出るディレイですね。
まとめ
まず普通の音がしっかりしているので、それだけでもうマイ・エフェクトボードに入れられるクオリティのディレイペダル。
そこに無限大の音作りの幅があるので、これはもうどんどん俺色に染め上げられるペダルだと思う。まだまだ底が見えません。
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